- はじめに:ブラックの反対は「ゆるい」じゃない
- まず整理:いい研究室とブラック研究室は「厳しさの向き」が違う
- 1. 指導の中身が違う:いい研究室は“改善”、ブラックは“人格攻撃”
- 2. 成果の出し方が違う:いい研究室は“仕組み”、ブラックは“残業”
- 3. 失敗の扱いが違う:いい研究室は“分解”、ブラックは“罪”
- 4. 報告会の空気が違う:いい研究室は“相談”、ブラックは“公開処刑”
- 5. 就活・進路への態度が違う:いい研究室は“尊重”、ブラックは“縛る”
- 6. 学生の“余裕”が違う:いい研究室は先輩が生きてる
- 7. 「厳しいけどいい研究室」の条件
- 付録:判定チェックリスト(Yesが多いほどブラック寄り)
- まとめ:厳しい研究室を選べ。ブラック研究室は選ぶな
- 関連記事
はじめに:ブラックの反対は「ゆるい」じゃない
ブラック研究室の反対は、ゆるい研究室ではない。
本当にいい研究室は、研究の要求水準が高いのに、人が壊れない。
ここを勘違いすると「厳しい=ブラック」と短絡するか、「優しい=安全」と思って詰む。
この記事では、配属前でも配属後でも使えるように、いい研究室とブラック研究室の決定的な違いを言語化する。
結論だけ先に言う。
いい研究室は“研究に厳しい”。ブラック研究室は“人に厳しい”。
まず整理:いい研究室とブラック研究室は「厳しさの向き」が違う
いい研究室の厳しさ
- 研究の質(再現性、論理、データ)に向く
- 指摘の目的が「改善」になっている
- 何を直せば前に進むかが分かる
ブラック研究室の厳しさ
- 人格、態度、滞在時間に向く
- 指摘の目的が「支配」になっている
- 何をしても怒られる、基準が機嫌で変わる
同じ「厳しい」でも、前者は伸びる。後者は削れる。
この違いを見落とすと、研究室選びが運ゲーになる。
1. 指導の中身が違う:いい研究室は“改善”、ブラックは“人格攻撃”
いい研究室の指導
- 「ここが論理的に飛んでる」「このデータが足りない」など、研究に刺さる
- 代替案が出る(次の実験、解析、相談先)
- 叱られても、最後に「次どうするか」が残る
ブラック研究室の指導
- 「センスがない」「向いてない」「社会で通用しない」が出る
- 具体論が少ないか、責めるだけで終わる
- 叱られた後に残るのが「恐怖」と「自己否定」
**指導の本質は、“次の一手が増えるかどうか”**だ。
次の一手が増えない叱責は、教育ではなく消耗だ。
2. 成果の出し方が違う:いい研究室は“仕組み”、ブラックは“残業”
いい研究室
- 週次MTG、議事録、共有フォルダ、手順の型がある
- 詰まりどころ(解析・実験設計・文章)を潰す文化がある
- 早く帰る人がいても評価が落ちない
ブラック研究室
- 「遅くまでいる=頑張ってる」が正義
- 土日・深夜が常態化している
- 休むと罪悪感が生まれる
研究は、長時間労働で勝つゲームじゃない。
仕組みで前に進む研究室は強い。残業で前に進む研究室は脆い。
3. 失敗の扱いが違う:いい研究室は“分解”、ブラックは“罪”
いい研究室
- 失敗は原因を切り分ける(試薬、条件、手順、仮説)
- 次の打ち手が決まる
- 失敗がノウハウとして蓄積する
ブラック研究室
- 失敗=責任追及
- 「なんでこうなった?」で詰める
- 報告しにくくなり、ミスが隠れる
失敗が報告できない環境は、研究としても終わっている。
安全も品質も落ちる。
4. 報告会の空気が違う:いい研究室は“相談”、ブラックは“公開処刑”

いい研究室
- 報告会は課題共有の場
- 質問は改善のために飛ぶ
- 報告会が終わると「前に進める感」がある
ブラック研究室
- 報告会が裁判
- 質問の形をした攻撃が飛ぶ
- 報告会が終わると「次に叩かれる未来」だけが残る
見分けたいなら、報告会後の学生の表情を見るといい。
学びが残っているか、恐怖だけが残っているか。ここが分岐点だ。
5. 就活・進路への態度が違う:いい研究室は“尊重”、ブラックは“縛る”

いい研究室
- 就活を普通にさせる
- 面接や説明会で抜けるのが当たり前
- 進路は個人の権利として扱う
ブラック研究室
- 就活を敵視する
- 「研究に集中しろ」で圧をかける
- 推薦や評価を人質にする/脅しが出る
研究室は学生の人生の責任を取らない。
それなのに就活を邪魔してくるなら、構造的に危ない。
6. 学生の“余裕”が違う:いい研究室は先輩が生きてる
ここは誇張じゃなく、一番わかりやすい。
いい研究室
- 先輩に質問すると、ちゃんと返ってくる
- 雑談がある
- 目が死んでいない
- 助け合いが残っている
ブラック研究室
- 全員疲弊している
- 先輩も余裕ゼロで、後輩を救えない
- 研究室全体が耐久戦の空気
- 「帰りづらい」「休みづらい」が日常
学生が潰れている研究室は、指導以前に運営が破綻している。
7. 「厳しいけどいい研究室」の条件
いい研究室にも締切はあるし、成果への要求は高い。
ただし、筋が通っている。
- 評価基準が明確
- 指導の頻度が一定(放任でも監視でもない)
- 詰まったら助ける
- 休むことが許される
- 人格否定がない
- 長期的に育てる意思がある
ブラック研究室は、基準が曖昧で、機嫌で決まり、空気で支配する。
だから壊れる。
付録:判定チェックリスト(Yesが多いほどブラック寄り)
A. 教員チェック(中核)
- 指摘が研究ではなく人格に向く(向いてない、センスない等)
- 「辞めたら通用しない」などの脅しが出る
- 就活を邪魔する/露骨に機嫌が悪くなる
- 放任なのに結果だけ要求する
B. 構造チェック(滞在時間主義)
- 夜・休日が常態化している
- 滞在時間が評価になっている
- 休むことが悪として扱われる(空気が重い)
- 失敗を報告しにくい雰囲気がある
C. 空気チェック(公開処刑)
- 報告会が相談ではなく裁判
- 詰められることが美徳になっている
- 学生の目が死んでいる/雑談がない
- 潰れた人(休学・失踪・退学)の話が出る
目安
0〜3:黒くない可能性
4〜7:注意(撤退ルートも調べる)
8以上:避けた方がいい(努力で解決しない)
まとめ:厳しい研究室を選べ。ブラック研究室は選ぶな
いい研究室は研究に厳しい。だから伸びる。
ブラック研究室は人に厳しい。だから壊れる。
「厳しい=ブラック」ではない。
筋の通った厳しさなら、成長できる環境だ。
逆に、人格否定、監視、滞在時間主義、就活妨害。
このあたりが揃っているなら、耐える価値は薄い。
研究室は、耐える場所じゃない。選ぶ場所だ。





