Pythonで製造現場の“ルーチンワーク”を自動化する方法|現場が最速でラクになるDX入門

DX IT プログラミング


Excel・報告書・集計が“数秒で終わる”現場DX入門

製造現場の仕事は、現物を動かすだけでは終わらない。
むしろ現実は、Excel入力・転記・報告書整形・集計・フォーマット合わせが仕事の大半を占める。

  • 日報に同じ項目を毎日コピペ
  • 月次報告の表をテンプレ通りに整形
  • CSVを開いて列を並べ替えて保存
  • 異常値を目視で探して色を付ける
  • PDFの数値をExcelへ転記する

こういう作業はどの会社にも必ずある。そして、地味に時間を溶かす。
ただ、ここで断言する。

そのルーチン、人間がやる必要はない。
Pythonなら、驚くほど短いコードで自動化できる。しかも“速い”だけではなく、ミスが減り、品質が安定し、標準化が進む

この記事では、製造現場にありがちな作業を「どこでも再現できる形」に一般化して、Python自動化の考え方と実装例をまとめる。


製造現場にルーチンワークが増える理由

製造業は品質と安全が最優先だ。
その結果、現場では「記録」「証跡」「報告」が増える。これは正しい。しかし副作用がある。

  • 記録が増える → 入力が増える
  • 証跡が必要 → 手作業のスクショ・コピペが増える
  • 報告が必要 → 同じ表を毎回作ることになる

つまり、現場ほど“ルール化された単純作業”が積み上がる構造になっている。
ここがPythonの得意分野ど真ん中だ。


なぜPythonが製造業と相性がいいのか

1) Excel作業を「完全に再現」できる

pandas / openpyxl を使えば、Excelで人がやっている操作をそのまま置き換えられる。

  • 並べ替え、フィルタ、欠損処理
  • 列の分割、単位換算、書式統一
  • テンプレートへの転記
  • 集計表の自動生成

「毎日30分」を「数秒」にできるのは、この領域だ。

2) 製造現場は手順が決まっている=自動化しやすい

プログラミングで重要なのは、才能よりルール化だ。
製造現場ほど、手順が固まっている職場は珍しい。だから自動化は刺さる。

3) 現場経験者が一番強い

Pythonの文法を知っているだけでは弱い。
強いのは、どこが面倒で、どこが事故りやすく、どこを自動化すれば価値が出るかを理解している人だ。
つまり現場にいる人間が最強になれる。


Pythonで自動化しやすい“鉄板ルーチン”7選(製造現場向け)

ここからは、どの現場にもある作業だけに絞る。
「これ、うちにもある」と思ったところから手をつければいい。

●① 日報・月報のテンプレ転記(Excel→Excel)

同じ項目を毎回コピペしているなら即対象だ。

  • 入力用Excel(生データ)から必要列だけ抜く
  • テンプレートに同じ位置で貼る
  • ファイル名を日付で保存する
import pandas as pd

df = pd.read_excel("input.xlsx", sheet_name="data")
out = df[["日付", "ロット", "温度", "時間", "結果"]]

with pd.ExcelWriter("report_2026-01-02.xlsx", engine="openpyxl") as w:
    out.to_excel(w, sheet_name="日報", index=False)

Code language: Python (python)

② CSVの整形(列順の統一・不要行削除・文字整形)

製造現場はデータがいろんな形で落ちてくる。
**“読みやすい形に揃える作業”**が毎回発生するならPythonで終わらせられる。

新しいタブでプレビュー

import pandas as pd

df = pd.read_csv("raw.csv", encoding="utf-8")
df = df.dropna(subset=["value"])                # 欠損行削除
df["lot"] = df["lot"].astype(str).str.strip()   # 文字整形
df = df[["date", "lot", "value", "judge"]]      # 列順統一
df.to_csv("clean.csv", index=False, encoding="utf-8-sig")
Code language: PHP (php)

③ 単位換算・しきい値チェック(合否判定の自動化)

電卓・目視チェックは事故る。
判定ルールが決まっているなら100%自動化対象だ。

df["temp_K"] = df["temp_C"] + 273.15
df["NG"] = df["value"] > df["upper_limit"]
Code language: JavaScript (javascript)

「NGだけ抽出して一覧を作る」まで一気にできる。


④ 報告文の整形(定型文+数値差し込み)

文章が面倒な現場は多い。
「結果をコピペして文章に貼る」作業は、テキスト生成で消える。

template = """【日報】
日付:{date}
ロット:{lot}
結果:{result}
特記事項:{note}
"""

text = template.format(date="2026-01-02", lot="ABC123", result="適合", note="なし")
print(text)
Code language: PHP (php)

⑤ グラフの自動作成(トレンド・傾向管理)

毎回Excelでグラフ作ってるなら、Pythonで固定化した方が速い。
matplotlibで一括生成できる。

import matplotlib.pyplot as plt

plt.plot(df["date"], df["value"])
plt.xticks(rotation=45)
plt.tight_layout()
plt.savefig("trend.png", dpi=200)
Code language: JavaScript (javascript)

⑥ PDFからの情報抽出(転記を減らす)

PDF転記は時間もミスも多い。
表があるなら抽出できるケースが多い(環境によるが、刺さる現場は刺さる)。

  • まずは「PDF→CSV」化が狙い目
  • 紙スキャンならOCRも候補

⑦ フォルダ整理・ファイル名リネーム(地味だが効く)

「日付+設備名+ロット」みたいなルールがある現場ほど効く。

  • ファイル名の揺れを消す
  • 保存場所を統一する
  • 探す時間を削る

自動化の本当の価値は「時短」だけではない

ヒューマンエラーが激減する

転記漏れ、桁ミス、コピペミスは“人間の仕様”だ。
自動化はここをほぼゼロにできる。

作業品質が均一になる

Pythonのコード自体が**標準手順(SOP的なもの)**になる。
誰がやっても同じ結果が出る。

教育コストが下がる

新人は「やり方」を覚えるより、スクリプトを実行するだけで一定品質に到達できる。
現場が強くなる。

属人化を潰せる

「この人がいないと回らない」を壊せるのはデカい。
属人化は品質リスクであり、退職リスクでもある。
属人化は現場の大きなリスクなので、これだけでも価値が大きい。


製造現場でPython導入するときの現実的な進め方

いきなり大規模システムを作る必要はない。
現場DXは、小さく作って、確実に効かせて、徐々に広げるのが勝ち筋だ。

ステップ1:まず“自分が一番嫌いな作業”を1つだけ潰す

おすすめはこれ。

  • 毎日同じ場所に転記
  • 列の並べ替えと整形
  • 同じグラフ作成
  • 同じ文章整形

ここは成果が出やすい。

ステップ2:実行方法を固定する(属人化しない形に)

現場で回すなら「誰でも押せる形」に寄せるのが強い。

  • .py をダブルクリックで動かす
  • .bat を作る
  • .exe 化する(PyInstaller)
  • タスクスケジューラで定期実行

ステップ3:ログを残す(証跡)

製造業は証跡が命だ。自動化するなら尚更、ログは価値になる。

  • 処理日時
  • 入力ファイル名
  • 出力ファイル名
  • 件数、NG件数
  • エラー内容

よくある不安:Pythonって現場で使って大丈夫なのか?

結論、使い方次第で大丈夫だ。
むしろ手作業の方が事故る。

ただし、製造業には現実の制約があるので、ここは押さえる。

  • データの改変を防ぐ(原本コピーで処理)
  • バージョン管理(コードと仕様を一致させる)
  • 誰がいつ実行したか(ログ)
  • アクセス権(勝手に編集されない運用)

この辺を意識するだけで、現場でも通るDXになる。


まとめ:Pythonは製造現場の“最強の時短ツール”だ

製造現場には、ルーチンワークが驚くほど多い。
そしてその多くは、人間が毎回手作業でやる必要がない作業だ。

Pythonを使えば、

  • 工数削減
  • ミス削減
  • 標準化
  • 属人化の防止
  • 教育負荷の低減

をまとめて取りにいける。

特に、現場を知っている人間が使うPythonは強い。
「改善点が見えている」からだ。

まずは、自分が一番面倒だと思っている作業を1つだけ自動化してみる。
そこから現場は一気にラクになる。

この記事を書いた人
この記事を書いた人
SATOSU

こんにちは、SATOSUです。
35歳です。

元 製薬・化学系メーカーにて、
研究・生産技術・DX推進を横断的に経験してきました。

VBAやPythonを用いた業務自動化ツールを多数開発し、
工数削減や属人化解消など、
現場起点の生産性向上に継続的に取り組んできました。

化学とITの両方を理解できる
「ハイブリッド人材」として、
現場とデジタルをつなぐ役割を担ってきました。

・日米特許 登録(発明者)
・DX推進として業務自動化ツールを多数開発
・IT × 化学 × 現場理解の三位一体スキル
・ブログで Google AdSense 合格

ブログでは、理系キャリア・資格勉強法・仕事の効率化に加え、
現場で使えるイラストや図解も交えながら、
「忙しい30代でも再現できる形」で発信しています。

プライベートでは筋トレやゴルフ、サウナなどを楽しみつつ、
仕事と個人活動の両立に挑戦しています。

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