はじめに
業務改善と聞けば、多くの人はまず「Excelマクロ(VBA)」を思い浮かべるはずだ。私もかつてはVBAを使い、文書の自動作成ツールを作っていた。現場ではちゃんと役に立ったし、手作業も減った。
それでも評価は、驚くほど動かなかった。
「便利だけど、所詮マクロだよね」
「君しか触れないなら、怖くて広げられない」
この“便利止まり”の空気は、VBAで改善した人ほど一度は経験すると思う。
そこで私は、同じ仕組みをPythonで作り直し、さらにGUI化(誰でも操作できる形)まで持っていった。すると状況が一変した。小さな改善ではなく「DX」として扱われ、部署内だけでなく横展開の話が出るようになった。
この記事では、私の体験をベースに「なぜVBAでは評価されにくく、Pythonに置き換えると評価が変わりやすいのか」を整理する。
VBAで作った文書自動作成ツール

最初に作ったのは、社内で頻繁に使う文書を自動生成するVBAマクロだった。
- 手作業で約2時間かかっていた作業を、10分程度まで短縮
- Excelの入力内容をもとに、決まったフォーマットで文書を自動生成
- 教育記録や報告書の作成に使え、現場の負担が減った
同僚の反応は素直に良かった。
「助かる」「便利」「これがないと困る」――ここまでは順調だ。
ただ、評価はそこで止まった。
「便利だけど、所詮は個人のマクロだよね」
「君が異動したら終わるんでしょ?」
この瞬間、私は気づいた。
成果の中身ではなく、“見え方”と“運用のしやすさ”で評価が決まっている。
VBAはなぜ評価されにくいのか?
VBA自体が悪いわけではない。むしろVBAは強い。
ただ、保守的な職場ほど「評価されにくい構造」がある。
1) 属人化の疑いを消しにくい
VBAは書いた本人だけが理解しているケースが多い。
その結果、上司の頭の中ではこう翻訳される。
「便利」=「ブラックボックス」=「異動したら止まる」=「リスク」
2) “マクロ=個人の便利ツール”というラベルが強い
どれだけ効果があっても、「Excelの延長」として扱われやすい。
つまり、改善の成果が「仕組み」ではなく「個人技」に見える。
3) マクロのエラーは“一発アウト”扱いされやすい
人の手作業ミスは「仕方ない」で流れるのに、マクロの不具合は「危ない」「使えない」になりやすい。ここは理不尽だが現実だ。
(この話は別記事でも詳しく書いた:『VBAやめとけ』業務改善したら逆に怒られた理由)ここで感じたのは、VBAには「限界」と「評価されにくさ」があるということだ。
- 属人化リスク
VBAコードは書いた本人にしか理解されないことが多く、上司からは「お前がいなくなったらどうする」と言われがち。 - “マクロ=個人の便利ツール”というイメージ
どれだけ効果があっても、「Excelの延長」でしか評価されない。社内システムや本格的なDXとは見なされにくい。 - 不具合への過剰な不信感
少しでもエラーが出ると「やっぱり使えない」と言われる。人の手作業ミスは許されるのに、マクロの失敗は一発アウト扱いになる理不尽さがある。
VBAは強力な業務改善ツールだが、保守的な職場では「便利で終わる」ことが多い。
Pythonに置き換えてみた
そこで私は、同じ仕組みをPythonで作り直した。
- Excelと連携して文書を自動生成
- ライブラリを使い、処理の拡張性が上がる
- GUIを付け、誰でも直感的に操作できる形にした
ここで大きかったのがAIの存在だ。
GUI設計のような「自力だと時間が溶ける部分」を、AIに相談しながら前に進められた。結果として、見た目と使いやすさの両方を崩さずに形になった。
評価が一変した理由

Pythonに移行してアプリ化した瞬間、周囲の反応は明らかに変わった。
- 「これはDXだね」と社内で正式に扱われる
- IT部門や上層部の目線が入る(説明の土俵が変わる)
- 横展開(部署→工場→グループ)を議論しやすくなる
- 「仕組みとして残せる」という言い方に変わる
同じ機能でも、受け止められ方が違う。
これは技術の優劣というより、社内の“評価構造”に刺さる形が違うからだ。
私の中で、評価が変わった要因は主に3つある。
- Excelの中から出た(=業務の属人性が減ったように見える)
- GUI化で「誰でも使える」状態を作れた(=運用できる)
- “アプリ”として説明できる(=投資対象に見える)
VBAが悪いのではなく、Python+アプリ化が「評価されやすい形」になりやすいという話だ。
市場価値が上がった実感

マクロができる人は社内にそれなりにいる。
ただ、次のことができる人は急に減る。
- マクロで回っている業務を理解して
- Pythonで置き換えられて
- 配布や運用まで考えて
- 使う人にとって扱いやすい形(GUI等)にできる
この“橋渡し”ができると、立ち位置が変わる。
社内では「DXを進める人」になり、社外では「業務改善×実装ができる人」になる。
そして何より、「いつでも選べる」という感覚が手に入る。これは精神的に大きい。
まとめ|マクロに限界を感じたら、Pythonで“仕組み化”する
Excel VBAは強力な改善ツールだ。だが保守的な職場では「便利で終わる」「属人化が怖い」といったラベルがつきまといやすい。
一方で、同じ仕組みでもPythonに移行し、GUI化して“運用できる形”にすると、DXとして扱われやすくなる。評価が変わったのは、技術よりも見え方と運用設計の差だ。
もし今、マクロだけで限界を感じているなら、Pythonに一歩踏み出してみてほしい。AIが支えてくれる今は、挑戦のハードルが昔より確実に低い。
改善を止めず、仕組みとして残す。
それが、あなたのキャリアを強くする。



