はじめに
これまでExcelのマクロで、さまざまな業務を自動化してきた。
資料作成、報告書の整形、データの集計……。
手作業では面倒だった業務を、一瞬で終わらせるマクロを組んでは、
「助かった」「これがないと困る」と感謝されてきた。
でも、心のどこかでずっと違和感を感じていた。
便利なはずなのに、評価はされない。
むしろ、「またマクロいじってる」「壊れたらどうするの?」とネガティブな言葉が返ってくることも多かった。
正直、モヤモヤしていた。
マクロは便利。でもどこか信頼されない

マクロは本当に便利だ。
とくに、ITリテラシーが低い人でも使いやすいというのは大きな強みだと思っている。
ボタンを押すだけで、誰でも同じ処理ができる。
作業時間は大幅に削減され、現場の負担も軽くなる。実際、私が作ったマクロは多くの人が日常的に使ってくれていた。
それでも、どこかで「マクロ=信頼できないもの」という雰囲気がつきまとっていた。
「セキュリティが不安」
「属人化している」
「将来性がない」
そんな声が聞こえてきて、私自身も「たしかにそうかもしれない」と思い始めていた。
実際、私にしか中身がわからないマクロは多かったし、
社外に提出する資料をマクロで処理するわけにもいかない。
便利さの裏に、”外には出せない技術”という限界があったのも事実だった。
あるきっかけで、Pythonに目を向けた

きっかけは、社外にも展開できそうなツールの話が出たことだった。
「このマクロを外部にも共有したい」
でも、マクロではNGだった。セキュリティ上の理由もあるし、なにより印象がよくないらしい。
このとき、「だったらPythonで作り直してみるか」と思った。
正直、Pythonなんて触ったこともないし、最初は不安しかなかった。
でも、自分の手で作った業務改善ツールが、外でも使えるものになる可能性があるなら、やってみる価値はあると思った。
Excelマクロは本当に置き換えられるのか?
私が一番不安だったのは、「Pythonでマクロと同じことができるのか?」という点だった。
マクロは、Excelを開いたまま操作できるし、UIも組み込める。
誰でも扱えるという点では、Pythonよりもずっと優れていると思っていた。
でも、それは自分の思い込みだった。
実際にやってみると、Pythonのxlwingsというライブラリを使えば、
開いているExcelをそのまま操作できるし、処理の内容も柔軟に組める。
GUIもPySide6で用意すれば、ユーザーに優しいインターフェースを作ることもできた。
むしろ、マクロよりもやれることが増えている。
PDFの出力、複雑な文字列操作、画像や外部ファイルの取り扱いなど、
VBAでは限界があった処理が、Pythonでは自然にできる。
このとき私は、「できないと思っていたのは、自分の知識が足りなかっただけだった」と思い知らされた。
Pythonで広がった可能性
Pythonに移行してみて、最も大きかったのは「追加したい機能が自然に思い浮かぶようになった」ことだった。
たとえば、文章を自動で整形したり、キーワードを抽出したり、
自然言語処理的なことを業務で使えるようになったのは、マクロ時代では考えられなかった。
しかも、Pythonなら社内だけでなく社外でも通用する。
「技術的に優れている」というより、「ちゃんとしたものを使っている」という空気がある。
同じ処理をしているのに、「Pythonで作った」と言っただけで、評価が変わる。
驚いたことに、マクロ時代に批判していた人たちが、何も言わなくなった。
評価とキャリアがつながった

Pythonに置き換えたツールを社内で共有すると、反応がガラリと変わった。
「え、Pythonできるの?」
「いつ勉強したの?」
「すごいじゃん」
そんな言葉をかけられたとき、初めて“スキルとして認められた”と実感した。
そして、Pythonのコードを書いていくうちに、
「これ、職務経歴書に書けるな」
「副業としても通用しそうだな」
と自然に思えるようになった。
マクロを使っていたときは、便利なツールを作っても、「裏方」で終わっていた。
でも、Pythonは「スキル」として評価され、「実績」として人に見せられる。
おわりに|マクロも正しい、でもPythonはもっと広い
私は今でも、マクロを否定する気はない。
むしろ、使う人の立場を考えると、マクロの簡易さや導入しやすさはとても重要だと思っている。
ただ、将来性、社外展開、スキルアップという面では、Pythonに分がある。
できることが広がり、扱えるデータが増え、評価のされ方も変わる。
実際に、Pythonに移行したことで、自分のキャリアが一歩進んだ感覚がある。
便利だけど評価されない──
そんな悩みを感じているなら、一度Pythonでの再構築を考えてみてもいいと思う。
マクロで積み上げた経験は、Pythonでも確実に生きる。
そして、できることは100倍に広がる。




