はじめに
「あ、ここブラック研究室だ」──そう気づいたのは、深夜まで研究室に残され、誰も助けてくれない環境に放り込まれたときだった。
大学院って、本来は「研究がしたい」「専門性を深めたい」と思って入る場所だ。
なのに現実は、長時間拘束、圧、人格否定、進路妨害、成果の搾取。研究室によっては、普通に人生を削りにくる。
ただし、言っておく。ブラック研究室だからといって、人生が終わるわけじゃない。
私は薬学部の大学院でブラック研究室に3年間所属した。しんどい経験もしたが、卒業もしたし、その後も普通に生きている。
この記事では、ブラック研究室の見分け方と、壊れずに生き抜くための動き方、そして脱出ルートを整理する。
「これ自分のことだ」と思った人の、頭の整理に使ってほしい。
結論:教員にビビらなくていい(ただし賢く動け)

ブラック研究室にいると、指導教員が“絶対”に見えてくる。
嫌われたら終わる気がするし、卒業できなくなる気がする。
でも実際は、ビビる必要はない。
教員は神じゃない。あなたは給料をもらっている社員でもない。ただの学生だ。あなたの人生の責任は教員は取らない。
ここで大事なのは、「喧嘩しろ」じゃない。
自分の尊厳と時間と健康を守るために、賢く距離を取れという話だ。
- 無理な要求は、その場で飲み込まない
- 記録を残す(日時・内容・メール・チャット)
- 使える窓口とルートを確保する
- 最悪、逃げる
これでいい。
ブラック研究室の特徴

「自分の研究室が本当にブラックなのか?」が曖昧なままだと、判断が遅れる。
まずは特徴をざっくり押さえる。
1. 長時間拘束・休みなし
- 朝から晩まで研究室にいるのが当然
- 休日出勤が常態化している
- 雑用・後輩対応・実習補助などが過剰に降ってくる
2. パワハラ・モラハラが常態
- 暴言・罵倒・人格否定がある
- 相談できる雰囲気がない(相談=詰めの材料)
- “言葉にしてないからセーフ”みたいな圧がある
3. 研究成果の搾取
- 学生の成果が教員の手柄として扱われる
- 著者順がおかしい、説明がない
- 学生が論文を書く機会が極端に少ない
4. 進路の妨害
- 就活を始めると機嫌が悪くなる
- 推薦・紹介を盾に脅される
- 卒業を引き延ばされる雰囲気がある
5. 健康が削られる
- 体調不良が続く
- “普通”が壊れていく(睡眠、食事、気力)
- 音信不通・失踪が出るレベルの環境
具体的な「あるある」は別記事で25個まとめた。読んで当てはまる数を数えるだけでも、自分の状況が整理できる。
ブラック研究室で生き抜くための対策(壊れないための戦略)
ここからは精神論じゃなく、手を動かす話をする。
1. まずは情報収集(敵の強さを知る)
- 研究室の“暗黙ルール”を言語化する(何で怒られるか、どこが地雷か)
- 研究室の卒業実績・就職実績を調べる
- 他研究室の運用と比べる(客観視する)
ブラック環境は「世界が狭くなる」のが一番の罠だ。外と比べて初めて異常さが見える。
2. 研究の効率を上げる(“滞在時間主義”を破壊する)
ブラック研究室は、成果より“居ること”が評価されがちだ。
だからこそ、効率化は武器になる。
- 実験の段取りをテンプレ化する
- データ整理・解析を自動化する(Excel/VBA/Pythonで十分)
- 「やらないことリスト」を作って守る
- 雑用は“やって当然”にしない(引き受けすぎない)
ここは綺麗事じゃない。成果が出れば、相手は黙る。黙らないなら、脱出の判断が早くなる。
3. メンタルを守る(最優先)
メンタルは根性で守れない。構造で守る。
- 相談先を研究室の外に作る(友人・家族・先輩・OB)
- 生活リズムを崩し切らない(睡眠だけは死守)
- 運動は効く(筋トレ・格闘技・ランニング、何でもいい)
- “限界サイン”を軽視しない(動悸、胃痛、涙、無気力)
しんどいのに「まだいける」は危険だ。壊れてから立て直す方が100倍きつい。
4. 指導教員との距離感を調整する(戦わずに守る)
ポイントはこれ。
- 聞かれたことだけ答える
- 約束は曖昧にしない(メール等で残す)
- 無理な要求は“期限と条件”で返す(例:「〇日までならここまで」)
喧嘩腰になる必要はない。淡々と、事実と条件で返す。
そして、やり取りの記録は残す。これは本当に効く。
ブラック研究室からの脱出(逃げは戦略だ)
耐えるだけが選択肢じゃない。逃げた方がいい局面は普通にある。
1. 他研究室へ移る
- 学内で転籍のルートがあるか確認
- 学科長・専攻長など“研究室の外”に相談
- 共同研究や他大学ルートを探る
「言い出したら終わり」じゃない。終わるのは、壊れて動けなくなった時だ。
2. 就活を早める
ブラック研究室の経験は、言い方次第で武器になる。
「理不尽な環境でも成果を出した」「限られた条件で工夫した」「自走した」──これは評価される。
- 研究室外の人脈を作る(学会、OB/OG、企業イベント)
- 研究成果と役割を整理して、説明できる形にする
- “研究室の許可”に依存しない動き方を作る
3. 休学・退学も選択肢
限界なら、休学でいい。退学も人生の終わりではない。
むしろ「自分を守れる人間」だという証明になることすらある。
今すぐできる「ブラック研究室」3分チェック(保存用)
当てはまる数を数えてみてほしい。
0〜2個:要注意(様子見)
3〜5個:危険(準備開始)
6個以上:赤信号(脱出ルート確保)
□ 研究室にいると常に緊張して、休んだ気がしない
□ 睡眠が削れ、体調不良(胃痛・頭痛・動悸・息苦しさ)が続いている
□ 「報告=詰められる場」になっていて、話すのが怖い
□ 就活・進路の話をすると露骨に機嫌が悪くなる/圧が強い
□ 休日や深夜の滞在が評価され、休むと罪悪感を覚える
□ 教員や先輩の言動が人格否定レベル(暴言、侮辱、見下し)
□ 相談しても「自分で考えろ」で終わるのに、結果が出ないと詰められる
□ 研究以外の雑用が固定化され、研究時間が削られている□ 著者順や成果の扱いが不透明で、説明もされない
□ 「ここを出たら通用しない」「辞めたら終わり」と脅しが入る
□ 研究室内に味方がいない/周りも疲弊していて助け合えない
□ “来なくなる人”や、明らかに病んでいる人が出ている
補足:
このチェックで一番怖いのは、点数よりも「当てはまるのに、もう慣れてしまっている」状態だ。慣れた時点で、環境があなたを削っている。
まず最初にやること(行動の順番テンプレ)
焦って喧嘩しなくていい。順番が大事だ。
① 記録を残す(最優先)
- 日時/場所/誰が/何を言ったか(短くでいい)
- メール・チャット・指示内容はスクショや保存
- 体調不良が出たら、いつから・どんな症状かもメモ
※これだけで「自分の認識が正しいか?」の確認にもなるし、相談した時の説得力が段違いになる。
② 味方を研究室の外に作る
- 学内:学科長・専攻長・学生支援課・ハラスメント窓口
- 学外:家族・友人・OB/OG・外部の医療機関
研究室の中だけで解決しようとすると詰む。外に出していい。
③ 脱出ルートを“確保だけ”しておく
- 他研究室への転籍が可能か
- 共同研究先・他大学への移動の可能性
- 就活を早める(研究室の許可に依存しない)
- 休学という安全弁
今すぐ逃げなくてもいい。ただ、逃げ道がある状態にするだけでメンタルが回復する。
相談先テンプレ文(コピペOK)
状況に合わせて、()だけ書き換えれば使える。
「長文で全部説明」しなくていい。短く・事実ベースが強い。
1)学科長/専攻長(または信頼できる教員)に相談する文
件名:研究室環境について相談したい(面談希望)
本文:
(先生のお名前)先生
突然のご連絡失礼します。(学籍番号/氏名)です。
所属研究室での指導・勤務状況について、心身への負担が大きく、第三者の立場で相談したくご連絡しました。
【相談したい内容(要点)】
・(例:深夜までの拘束が常態化している)
・(例:進捗報告で人格否定に近い発言がある)
・(例:就活に関して圧力を感じている)
可能であれば、(今週/来週)のどこかで(15〜30分程度)面談のお時間をいただけないでしょうか。
必要であれば、日時や出来事の記録も提示できます。
よろしくお願いいたします。
2)学生支援課/ハラスメント窓口に相談する文
件名:ハラスメント/過度な拘束に関する相談(面談希望)
本文:
(窓口名)ご担当者様
(学籍番号/氏名)です。
所属研究室での指導・拘束状況により、心身への影響が出ており、相談したくご連絡しました。
【主な状況】
・(例:深夜まで帰れない雰囲気/休日出勤の強要)
・(例:進捗報告での威圧・人格否定に近い発言)
・(例:就職活動への妨害/圧力)
安全に研究生活を継続するための対応(助言・手続き・必要な窓口)について伺いたいです。
面談可能な日時候補があればご提示ください。
よろしくお願いいたします。
3)病院(心療内科/内科)で言うためのメモ(受付・診察用)
- いつから: (例:2か月前から)
- 症状: (眠れない/胃痛/動悸/気分の落ち込み/涙が出る/食欲低下)
- 原因として思い当たること: (研究室の長時間拘束、強い叱責、進路の圧力)
- 困っていること: (研究室に行くと息苦しい、朝起きられない、集中できない)
- 希望: (診断書が必要か相談したい/休養の必要性を判断してほしい)
※診断書は「逃げ」じゃない。体を守るための公的なカードだ。最後に:いちばん大事な判断基準
「続けられるか」じゃなくて、「続けた結果、壊れないか」で判断していい。
研究室は人生のすべてじゃない。あなたの心と体の方が、100倍重要だ。
ブラック研究室に関して思うこと(ここは筆者の本音)

1. 研究テーマは「運」で決まる。成果が出なくてもあなたのせいじゃない
研究がうまくいかないと、「自分の努力が足りないのでは?」と悩みがち。
でも、正直テーマや装置、配属された研究室そのものに左右される要素が大きい。
努力ではどうにもならない“運ゲー”なのが研究。
だから、うまくいかないことを自分のせいにしないでほしい。
2. 指導教員に詰められても、無視していい。キレ返してもいい
「なんで結果が出ないんだ?」「寝てる暇があったら実験しろ」
そんなことを言ってくる教員は、教育者ではない。
パワハラは無視してOK。むしろキレ返していい。
自分の尊厳を守ることの方が100倍大事。
「録音するので、もう一度言ってください!!」と対応しましょう。
3. 研究が「楽しい」と思えるなら、それは一つの才能
どんな環境でも「研究が面白い」「もっと知りたい」と思える人は、すごい。
それはもう才能だから、突き進んでほしい。
でも、そう思えない人は無理しなくていい。
合ってないだけ。才能が別の場所にあるだけ。
4. 大学のカウンセラーに期待していけない
「とりあえずカウンセラーに相談しよう」ってよく言われるけど、正直あまり助けにならないこともある。
私は相談したけど、無駄だと感じた。
形式的な対応しかできない人も多いし、根本的な解決にならない場合もある。
私の場合、自分の人生は自分でどうにかするしかないなと踏ん切りがついた。クソ教員から自分を守ることに覚悟を決めることができた。
5. 研究室が合わないなら、逃げていい。本当に
「逃げたら負け」「就職に不利になるかも」なんて思わなくていい。
自分の命と心を守ることが最優先。
ブラック研究室から逃げても、ちゃんと人生は続くし、就職もできる。
むしろ、自分を守れたことに誇りを持っていい。
友人の体験談:研究をやめて幸せになった例
友人の一人は、ブラック研究室に配属されてすぐに「これは無理だ」と判断し、研究の道を降りた。
そして営業職に就いた。今では収入も上がり、普通に楽しそうに生きている。
理系に進み、大学院に行ったからといって、研究職に行かなきゃいけないわけじゃない。
向いてないなら別の道でいい。決断が幸せにつながることは普通にある。
(私みたいにブログで生きる道を作るのもアリだ)
まとめ
ブラック研究室に配属されても、耐え続けるだけが選択肢じゃない。
効率よく研究を進め、メンタルを守り、必要なら脱出する。これが正解だ。
「どうしても辞められない」と思い込まなくていい。
逃げても人生は終わらない。むしろ、そこから始まることがある。




