はじめに:ブラック研究室の原因は、だいたい教員だ

ブラック研究室の一番の要因は、結局のところ教員だと思う。教授、講師、助教。誰が主導権を握っているかで研究室の空気は決まる。
もちろん教員側にも事情はある。学生に成果を出してもらわないと自分が出世できない。論文、特許、科研費、共同研究、学会。評価指標がそういう構造になっている以上、プレッシャーが学生へ降りてくるのは自然だ。
ただ、そのプレッシャーのかけ方が「教育」になっていればいい。
問題はそれが、支配・恐怖・滞在時間主義に変換されている研究室だ。
この記事では、ブラック研究室を「根性で耐える前」に見抜くための情報収集法をまとめる。
結論から言うと、勝負は質問の巧さではなく情報源の取り方で決まる。
まず知っておくべき現実:外面は当てにならない
授業では仏と言われていた教授が、研究室では鬼のように恐ろしい。これは普通にある。
授業は公の場だ。学生の評価もあるし、周囲の目もある。
研究室は閉じた場だ。空気が支配しやすいし、外から見えない。
だから「授業で優しい=研究室も安全」は成り立たない。
むしろ外面が良いほど、内側のギャップで詰むことがある。
研究室の学生に聞いても、本音が出ないことがある
研究室訪問で「所属学生に聞く」のは大事だ。一次情報だからだ。
ただし、それだけだと危ない。
- 悪口を言いづらい(身バレが怖い)
- そもそも麻痺していて「普通」になっている
- 意外と「自分と同じ目にあってほしい」心理が働くこともある
つまり、所属学生の話は真実の一部ではあるが、全体の真実ではない。
ここを補う必要がある。
結論:情報収集は「3方向」から取ると精度が上がる
ブラック研究室を見抜くための情報源は、この3つだ。
- 所属研究室の学生(一次情報)
- 他研究室の学生・先輩(周辺情報) ← 一番効く
- 事務・学務・TA/技官など(制度と空気の情報)
特に、あなたが言う通り
「他研究室の先輩に、あの研究室ってどうなんですか?」と聞くのがベターだ。
所属学生が言いにくいことも、周辺の人は案外あっさり教えてくれる。
ブラック研究室を見抜く「情報収集の手順」

ステップ1:まず“噂”を集める(精度は低くていい)
最初は匿名の噂レベルでいい。目的は「危険候補」を絞ることだ。
- 同期・友人
- サークルの先輩後輩
- 同じ学科の別研究室の人
この段階で「名前が何度も出る研究室」は要注意候補になる。
ステップ2:他研究室の先輩に聞く(ここが本丸)
ストレートに「ブラックですか?」はやめた方がいい。警戒される。
事実を拾える聞き方にする。
使える質問テンプレ
- 「率直に、あの研究室って雰囲気どんな感じですか?」
- 「配属で入った人、元気にやってます?」
- 「就活って普通にさせてもらえる感じですか?」
- 「夜や休日も来るのって、当たり前ですか?」
- 「辞めた人・来なくなった人って聞いたことあります?」
ここで出てくるのは“悪口”ではなく“事実”だ。
事実が出る研究室は、だいたい事実としてヤバい。
ステップ3:所属研究室の学生には「観察+間接質問」
所属学生には、悪口を引き出すより空気の真実を拾う。
間接質問の例
- 「普段、何時くらいに帰る人が多いですか?」
- 「土日に来るのはどれくらい普通ですか?」
- 「体調悪いときって休めます?」
- 「就活の時期って雰囲気どうなります?」
答えそのものより、言い方・間・視線・沈黙を見る。
「自由です(…)」の後に空気が沈む研究室は危ない。
ステップ4:最後に「矛盾」を見つける
判断の決め手はここだ。
- 外向けは「自由」なのに、周辺は「帰れない」と言う
- 学生は「大丈夫」なのに、他研究室は「やばい」と言う
- 表では「成果主義」なのに、実態は「滞在時間主義」
矛盾が大きい研究室ほど、内部が歪んでいる可能性が高い。
ブラック研究室“濃厚”サイン(ここが出たら避けろ)
教員由来の危険サイン
- 怒鳴る/人格否定/公開処刑がある
- 「辞めたら通用しない」「ここで鍛える」などの脅しがある
- 就活を敵視する(説明会・面接で抜けるのを嫌がる)
- 指導が「放任」なのに結果だけ詰める
構造由来の危険サイン
- 夜に行っても人がいる(常態化)
- 土日が当たり前
- 学生の目が死んでいる/会話がない/空気が重い
- 先輩が疲弊していて助け合いが消えている
ここまで揃ったら、努力でどうにかする場所じゃない。避けた方がいい。
それでも迷ったときの最終奥義:「卒業生の顔」を見る
最後に効くのはこれだ。
その研究室を出た人が、今どんな顔をしているか。
- 卒業生が普通に社会で生きている
- 研究室の話を笑ってできる
- 後輩に「大変だけど得るものもある」と言える
こういう研究室は、厳しくても健全な可能性がある。
逆に、
- 研究室の話題を避ける
- 顔が曇る
- 「あそこはやめとけ」しか出てこない
こういう研究室は、だいたい内部で何かが起きている。
付録:外面に騙されない「見分け方チェックリスト」

研究室訪問・雑談・配属前の情報収集で、これを使えばいい。
該当が多いほど危険度が上がる。
A. 教員の危険度チェック(コア)
- 指導が「放任」なのに、結果だけ詰める
- 報告会が相談の場ではなく“裁判”になっている
- 人格否定や嘲笑が普通に出る(「社会で通用しない」等)
- 「辞めたら終わり」「ここを出たら通用しない」と脅す
- 就活を邪魔する/露骨に機嫌が悪くなる
B. 研究室の構造チェック(滞在時間主義)
- 夜に行っても誰かがいるのが当たり前
- 土日出勤が“普通”扱い
- 休むことに罪悪感がある(休み報告が必要、空気が重い)
- 「成果」ではなく「何時までいたか」で評価される雰囲気がある
C. 人間関係チェック(助けが死んでるか)
- 先輩が疲弊していて、質問すると露骨に嫌がる
- 研究室に雑談がない/笑い声がない
- 誰かが潰れたり消えたりした話が出る(休学・失踪・退学)
- “監視されている感”がある(帰りづらい、休みづらい)
D. 情報収集の質チェック(判断ミス防止)
- 所属学生の話しか聞いていない
- 他研究室の先輩に評判を取っていない
- 「噂」と「事実」の矛盾を確認していない
- 卒業生の様子を一切見ていない
判定目安(雑でOK)
- 0〜3個:現時点では黒くない可能性
- 4〜7個:注意。配属後の撤退ルートも調べておく
- 8個以上:避けた方がいい。努力で解決する領域ではない
まとめ:研究室は、耐える場所じゃない。選ぶ場所だ
ブラック研究室は教員由来で起きることが多い。そして厄介なのは、外面だけ見ても分からない点だ。
所属学生の話も大事だが、それだけでは本音が出ないことがある。
だからこそ、他研究室の先輩に聞く。周辺から固める。矛盾を探す。
それが一番、現実的で強い。
研究室は、人生を賭ける場所じゃない。
壊れる前に、避けていい。


