- 1. はじめに|「マクロが動かない」は、なぜいつも“俺”に飛んでくるのか
- 2. チームを立ち上げた|理屈じゃなく“感動”から入れた
- 3. 結果:3人脱落、1人覚醒|“学ぶ文化”がない職場の現実
- 4. そして、その有能が辞めた|育てた瞬間、市場価値になった
- 5. ここで気づいた|属人化は“技術の問題”じゃなく“構造の問題”だ
- 6. 「動かなくなっても知りません」|善意に責任を乗せるな
- 7. まとめ|できる人に甘えるなら、節度が必要だ
- 3. 教育の結果:3人脱落、1人覚醒
- 4. そして、その有能が辞めた。
- 5. でも結局、こうするしかなかった
- 6. 動かなくなっても、知りません
- 7. まとめ|できる人に甘えるなら、節度が必要だ
1. はじめに|「マクロが動かない」は、なぜいつも“俺”に飛んでくるのか
今すぐ辞める予定はない。
でも、いつか辞める日は来る。これはもう確定事項だ。
そして、そのときに起きる未来もだいたい見えている。
「マクロが動かない!」「急ぎ!」「誰か直して!」
…で、なぜか自分のところに連絡が来る。
いや、知らん。
そもそもそれ、業務命令で作ったわけじゃない。手当もない。評価もない。
なのに、気づけば“業務のインフラ”みたいに扱われる。
これが一番イヤだった。
だから考えた。
属人化が問題なら、先に手を打ったほうがいい。
自分以外にもVBAが書ける人間がいれば、保守も相談も分散できる。精神的に楽になる。
会社に言われたわけじゃない。
でも「このままじゃまずい」と思って、VBA教育を始めた。
2. チームを立ち上げた|理屈じゃなく“感動”から入れた

当時、自分は書類の自動作成マクロを組んで業務を潰していた。
ルーティンが一瞬で終わる。ミスも減る。残業も減る。
効果が目に見えるタイプの改善だった。
だから若手4人に声をかけた。
- VBAが使えれば、面倒な作業が一瞬で終わる
- 定時で帰れる確率が上がる
- 改善できる人間は、社内でも外でも強い
もちろん強制じゃない。自主参加だ。
質問があれば個別に答えたし、サンプルも作った。
狙いはひとつ。
「まず動かして感動させる」
理屈は後回しでいい。動いた瞬間に脳が報酬を覚える。そこから勝負だと思った。
3. 結果:3人脱落、1人覚醒|“学ぶ文化”がない職場の現実
理想は全員が触れて、属人化が消える未来。
現実は、わりと冷酷だった。
4人のうち3人はフェードアウト。
- 難しい
- エラーが出て止まった
- 呪文に見える
- 忙しくて無理
わかる。VBAは最初がしんどい。
しかも学習って「時間」より「心の体力」を削る。業務の合間だと尚更だ。
こちらも本業がある。
教育は“善意の追加コスト”だから、毎週がんばるほど自分が削れる。
そんな中、唯一残ったメンバーがいた。
理解が早い。試す。直す。楽しむ。「これ面白いですね」と言う。
そこからは教育というより共闘だった。
- お互いのコードを見せ合う
- 書き方を競う
- 「10秒で終わらせてみる」みたいなゲームをする
気づけば彼は、ひとりでマクロを組み、改善提案も出すようになった。
正直、こう思った。
「この人に託せば大丈夫だ」
4. そして、その有能が辞めた|育てた瞬間、市場価値になった

ある日、彼が言った。
「転職が決まりました」
マジか、って言った。
でも驚きより先に、納得もした。
VBAを教える
→ 成果が出る
→ 自信がつく
→ 改善の実績ができる
→ 転職市場で武器になる
→ 辞める
流れが綺麗すぎる。
自分で“辞めるルート”を完成させてしまった。
恨みはない。むしろ応援したい。
実行力と発想力がある人材は、いずれ出ていく。これは自然現象だ。
ただ、事実として残るのはこれ。
属人化対策をしたのに、属人化が別の形で戻ってくる。
そして、残った側だけが「また誰か教えて」「また保守して」の世界に戻る。
5. ここで気づいた|属人化は“技術の問題”じゃなく“構造の問題”だ
属人化を解消したいなら、全員が最低限触るのが理想。
でも現実はこうなる。
- 興味を持つ人は少数
- 響いた人は伸びる
- 伸びた人は外でも通用する
- だから辞める確率が上がる
つまり「育った人が辞めていく」は避けにくい。
そして本質はそこじゃない。
そもそも属人化が生まれる原因は、だいたいこの3つ。
- 改善が“業務”として定義されていない(善意扱い)
- 引き継ぎの時間が確保されない(残業でやれ扱い)
- 報酬と評価がゼロ(でも責任は増える)
これ、技術じゃなくて制度の話だ。
6. 「動かなくなっても知りません」|善意に責任を乗せるな

「マクロが属人化して困る」とよく言われる。
でも、こっちはこう返したい。
- 頼まれて作ったわけじゃない
- 命令でもない
- 善意でやっているだけ
なのに、壊れたら呼び出される。
改修が必要なら当然のように頼まれる。
そして評価は増えない。
それ、契約がおかしい。
正直、自分が辞めたあとにマクロが動かなくなっても知ったこっちゃない。
責任を問われても、こう言って終わりだ。
「それ、業務命令でしたっけ?」
会社が本気で困りたくないなら、やるべきことは3つしかない。
- 教育制度を整える(業務時間内で)
- できる人を正当に評価する(職務として扱う)
- 給料を上げて引き止める(報酬で守る)
どれもしないなら、“便利な人”は辞める。
それだけの話だ。
7. まとめ|できる人に甘えるなら、節度が必要だ
「できる人」に頼るのが悪いとは思わない。
現場は忙しいし、得意な人が前に出るのは自然だ。
でも、節度がなければそれは搾取になる。
無償の善意に依存した職場は、もろい。
その人がいなくなった瞬間に崩れるなら、それは仕組みではなく属人化だ。
自分は「マクロが動かないから戻ってきて」と言われても戻らない。
頼まれてもいないことに、責任なんか持てるかって話だ。
VBAの引き継ぎは難しい。
でも一番難しいのは、たぶんこっちだ。
「便利な人が辞めない職場をつくること」
3. 教育の結果:3人脱落、1人覚醒
理想と現実は、やっぱり違った。
最終的に、4人のうち3人はフェードアウトした。
「難しいです…」
「エラーが出て何もできません…」
「呪文にしか見えません…」
そんな声が次第に増えて、いつの間にか自然消滅。
こちらも本業で手一杯。業務と教育の両立は、正直きつかった。
そんな中、唯一残ったのが、ある若手のメンバーだった。
頭が切れるし、理解も早い。そして何より、「これ面白いですね」と言ってくれた。
そこからは、教育というより“共闘”だった。
お互いにコードを見せ合って、
「ここ、もっとスマートに書けるよ」
「10秒で終わらせてみせます」みたいなチャレンジをし合った。
気づけば彼は、ひとりでマクロを組み、改善提案も出すようになっていた。
正直、「この人に託せば大丈夫」と思った。
4. そして、その有能が辞めた。
ある日、彼が静かに言った。
「実は、転職が決まりました」
あまりにも突然で、思わず「マジか」と言ってしまった。
教えたことで、彼の能力を引き出せたとは思っている。
でも、それは裏を返せば「転職市場で使える武器を持たせて、背中を押した」ということでもあった。
VBAを教える → 成果を出す → 転職の武器にする → 辞める
見事なまでの“辞めるルート”を自分で作ってしまった。
でも、恨みはない。むしろ応援したいと思っている。
彼のような実行力と発想力のある人材は、いずれ出ていくものだ。
5. でも結局、こうするしかなかった
結局のところ、属人化を解消するには「できる人ひとりに教え込む」しかなかった。
全員が興味を持ってくれるなんて、まずない。
どれだけ丁寧に教えても、響く人と響かない人がいる。
そして、響いた人間は、たいてい外でも通用する。
つまり、「育った人が辞めていく」のは避けられない流れだ。
でも、それでもやらないと始まらない。
私にできるのは、せめてマニュアルを残すこと。
最低限のコメントをコードに入れておくこと。それくらいだ。
6. 動かなくなっても、知りません
「マクロが属人化していて困る」とよく言われる。
けど、こう返したい。
頼まれて作ったわけじゃない。
命令でもない。
自分の善意でやっているだけだ。
正直、私が辞めたあとにマクロが動かなくなっても、知ったこっちゃない。
責任を問われても、「それ業務命令でしたっけ?」で終わり。
会社がやるべきことは、以下のどれか。
- 教育制度を整える
- できる人を正当に評価する
- 給料を上げて引き止める
そのどれもしないなら、「便利な人」はどんどん辞めていく。それだけのことだ。
7. まとめ|できる人に甘えるなら、節度が必要だ
「できる人」に頼るのが悪いとは思わない。
でも、節度がなければ、それは“搾取”だ。
無償の善意に依存した職場は、もろい。
その人がいなくなった瞬間に崩れるなら、それは“仕組み”ではなく“属人化”。
私は、「マクロが動かないから戻ってきて」なんて言われても戻らない。
頼まれてもいないことに、責任なんか持てるかって話だ。
VBAの引き継ぎは難しい。
けれど、一番難しいのは、
「便利な人が辞めない職場をつくること」かもしれない。


