はじめに|「今期の評価はCです」

DXを頑張った。
Excel VBAで作業を自動化した。
Pythonでツールも作った。
社内AIコンテストは入賞までした。
面倒な作業を減らすために、いろいろ考えた。
「これ、毎回手作業でやる意味ある?」と思う仕事にも手を入れた。
それなりに感謝もされた。
「便利になった」
「助かった」
「またお願い」
そう言われることもあった。
でも、ボーナス評価は上がらなかった。
普通に中間の「C評価」。
正直、かなりムカつき、退職も考えた。
会社はよく言う。
「DXを進めよう」
「業務を効率化しよう」
「無駄な作業を減らそう」
だからやった。
でも、やったからといって評価が上がるわけではなかった。
もちろん、会社の評価にはいろいろな事情がある。
部署の目標、上司の見方、評価制度、タイミング。
こちらが知らない事情もあるのだろう。
それでも思ってしまう。
じゃあ、DXって何をどこまでやれば評価されるのか。
この記事では、DXを頑張ったのに評価につながらなかった私のモヤモヤと、それでもDXをやる意味について書いていく。
DXをやると、便利な人になる
DXという言葉は、なんとなくかっこいい。
でも、現場で実際にやることはけっこう地味だ。
Excelの入力作業を減らす。
転記ミスを防ぐ。
手順書の作成を楽にする。
同じ作業を自動化する。
紙やファイルの運用を少しずつ整理する。
こういう仕事が多い。
そして、これをやると感謝はされる。
「助かった」
「便利になった」
「これ、次も使えるね」
そう言われる。
それ自体は嬉しい。
でも、評価が上がるとは限らない。
ここがきつい。
会社の中では、DXをやった人が「業務を改善した人」ではなく、
“パソコンに詳しい便利な人”として扱われることがある。
これがけっこうしんどい。
本来なら、業務を効率化できる人は貴重なはずだ。
普通の人ができないことをやっている。
その人がいなければ成立しなかった仕事もある。
それなのに、評価上は普通の業務として処理される。
「それも仕事のうちでしょ」と言われたら、確かにそうかもしれない。
でも、だったらその差分の価値はどこに反映されるのか。
ここが見えない。
仕事を減らしたのに、自分の仕事は増える

業務改善の皮肉なところは、仕事を減らしても自分が楽になるとは限らないことだ。
たとえば、1時間かかっていた作業を10分にしたとする。
普通に考えれば、50分の余裕が生まれる。
でも会社では、その50分がそのまま自由時間になるわけではない。
空いた時間に別の仕事が入る。
改善した人に次の改善依頼が来る。
作ったツールの保守も任される。
使い方の問い合わせも来る。
エラーが出たら呼ばれる。
結果として、仕事を減らしたはずなのに、なぜか自分の仕事だけ増えていく。
いや、おかしくないか。
業務改善をした人が楽になるなら分かる。
評価が上がるなら分かる。
給料が上がるなら分かる。
でも実際には、
「便利になったね」
「じゃあ次もお願い」
「ついでにこれもできる?」
となることがある。
便利な仕組みを作った人が、便利に使われる側になる。
これでは、やる人が損をする。
もちろん、会社にとってはありがたい存在なのだと思う。
でも、ありがたい存在と高く評価される存在は違う。
ここを混同すると、かなり苦しくなる。
会社で評価されるのは、従順に仕事をこなす人なのかもしれない
今回のことで、少し思った。
会社で評価されるのは、必ずしも希少スキルを持っている人ではないのかもしれない。
プログラミングができる。
業務改善ができる。
面倒な作業を自動化できる。
新しい仕組みを作れる。
こういうスキルは、外から見れば価値があると思う。
でも会社の中では、それよりも、
上司に言われた仕事を淡々とこなす。
社内のルールからはみ出さない。
余計なことを言わない。
周囲と波風を立てない。
評価シートに書かれた仕事を確実にこなす。
こういう人のほうが、評価されやすいのかもしれない。
もちろん、それが悪いと言いたいわけではない。
会社は組織だ。
組織を回すには、決められた仕事をきちんとこなす人が必要だ。
むしろ、そういう人がいないと会社は回らない。
ただ、そこにモヤモヤする。
こちらは、自分なりに努力して希少スキルを身につけている。
業務を効率化するために、時間を使って勉強している。
普通なら手作業で終わらせる仕事を、仕組みに変えようとしている。
それなのに評価は普通。
一方で、社内の仕事を淡々とこなしている人が普通に評価される。
それを見ると、思ってしまう。
あれ、会社が求めているのはDX人材じゃなくて、従順に仕事をこなす人なのでは?
と。
これは別に、誰かを下げたいわけではない。
ただ、自分が目指している姿と、会社が評価しやすい姿がズレている気がするのだ。
私は、会社が求めるような型にはまる気はあまりない。
目指しているのは、希少で圧倒的な市場価値を持つ人間だ。
会社の中でだけ通用する人ではなく、外に出ても通用する人間になりたい。
研究も分かる。
製造も分かる。
現場も分かる。
DXもできる。
プログラミングで仕組みも作れる。
そういう人材になりたい。
ただ、そういう人間は、会社からすると少し扱いづらいのかもしれない。
会社は、必ずしも「代替不能な人」を求めているわけではない。
むしろ、組織としては代替可能な仕組みを作りたい。
誰か一人に依存したくない。
ルール通りに動いてほしい。
上司の期待から外れずに、安定して働いてほしい。
その意味では、私が目指している姿は、会社が評価しやすい姿とはズレているのかもしれない。
だから評価されない。
そう考えると、少し納得できる。
評価されないなら、やらなきゃいい。でもやめられない

ここまで書くと、こう思う人もいるかもしれない。
「評価されないなら、やらなきゃいいじゃん」
その通りだと思う。
評価されない。
給料も上がらない。
仕事だけ増える。
便利な人として使われる。
それなら、やらなければいい。
必要最低限の仕事だけして、淡々と定時で帰ればいい。
余計な改善なんてしなければいい。
ツールなんて作らなければいい。
自動化なんて考えなければいい。
そのほうが、たぶん楽だ。
でも、やめられない。
なぜなら、楽しいからだ。
面倒な作業がボタン一つで終わるようになる。
1時間かかっていた仕事が10分で終わる。
人が嫌がっていた作業が、仕組みで片づく。
自分の書いたコードで、現場の作業が変わる。
これは普通に気持ちがいい。
「あ、これ自動化できるな」と気づいた瞬間。
試行錯誤して動いた瞬間。
誰かが「これ便利ですね」と言ってくれた瞬間。
その瞬間は、やっぱり嬉しい。
だから、やめられない。
本当は、これで給料も上がれば最高だ。
評価も上がって、ボーナスも増えて、市場価値も上がる。
それなら文句はない。
でも現実は、そううまくはいかない。
楽しい。
気持ちいい。
成長もする。
市場価値にもつながる。
でも、会社の評価にはすぐ反映されない。
ここがしんどい。
転職サイトでは、意外と反応があった

社内で評価されないなら、転職も一つの手ではないか。
そう思うことがある。
別に、すぐに辞めると決めたわけではない。
今の会社で得られる経験もある。
安定もある。
学べることもある。
でも、会社の評価だけに自分の価値を預けるのは危険だと思う。
試しに、転職サイトに職務経歴書を載せてみた。
すると、毎日のようにスカウトが来るようになった。
もちろん、スカウトが来るからといって、すぐに良い転職ができるわけではない。
スカウトの中には、自動送信のようなものもある。
条件が合わないものも多い。
本当に自分を見ているのか怪しいものもある。
それでも、社内で普通扱いされている経験が、外ではそれなりに興味を持たれる。
これは大きかった。
会社の評価では普通。
でも転職市場では反応がある。
この差は、けっこう重要だと思う。
社内では「便利な人」で終わっていた仕事も、職務経歴書に書けば実績になる。
Excel VBAで業務を自動化した。
Pythonでツールを作った。
製造現場の課題を改善した。
研究や製造の経験をDXに接続した。
こういう経験は、今の会社の評価表にはうまく乗らなくても、転職市場では違う見え方をする。
だから、会社の評価だけを見て自分の価値を判断する必要はない。
むしろ、自分の価値は外に出してみないと分からない。
社内では普通でも、外では希少かもしれない。
社内では煙たがられても、外では欲しがられるかもしれない。
それなら、一度市場に出してみる価値はある。
会社の評価と市場価値は別物
今回、ボーナス評価が上がらなかったことには正直モヤモヤした。
でも、そこで自分の価値まで下げる必要はないと思っている。
会社の評価は、あくまでその会社の中の評価だ。
その部署。
その上司。
その制度。
その時期。
その条件の中で出された評価でしかない。
もちろん無視はできない。
給料にもボーナスにも関わる。
低ければ普通に腹が立つ。
でも、それが自分の市場価値のすべてではない。
会社が評価しない経験でも、外では評価されることがある。
今の部署では普通扱いでも、別の会社では希少な経験になることがある。
たとえば、
- Excel VBAで業務を自動化した
- Pythonでツールを作った
- 手順書作成を効率化した
- 現場作業を標準化した
- 属人化していた作業を仕組みにした
- ミスが起きにくい運用に変えた
こういう経験は、会社の評価表にうまく乗らなくても、職務経歴書には残せる。
ここが大事だと思う。
社内評価にすべてを預けると、報われなかったときに折れる。
でも、自分の市場価値に変換できるなら、その経験は無駄にならない。
会社のためにやった仕事でも、最終的には自分の資産になる。
おわりに|DXは会社への奉仕だけではない
DXを頑張った。
業務改善もした。
ツールも作った。
面倒な作業を減らすために、いろいろ考えた。
でも、ボーナス評価は上がらなかった。
この現実は、正直かなり悔しい。
でも、全部が無駄だったとは思わない。
DXで作った仕組みは残る。
改善した業務も残る。
自分のスキルも残る。
職務経歴書に書ける経験も残る。
会社の評価には反映されなくても、自分の市場価値には反映されるかもしれない。
だから、私はこれからもDXを完全にやめるつもりはない。
ただし、何でもかんでも便利屋のように引き受けるつもりもない。
やるなら、自分の成果として残る形にする。
数字で説明できる形にする。
職務経歴書に書ける形にする。
会社に評価されるためだけではなく、
自分の市場価値を上げるためにやる。
DXは、会社への奉仕だけではない。
自分の人生を守るための武器でもある。
そう考えると、少しだけ腹の虫がおさまる。


